燃え跡の誓い、消すはずだった狼に溺愛されています
Synopsis
山火事調査官のセサリー・アーダウは、上り斜面を駆け上がるはずのない三件の異常な燃焼を説明するため、アッシュフォール・リッジへ向かった。そこで彼女が掴んだのは、口にすれば誰かの人生が終わる秘密だった。この土地の消火部隊を仕切っているのはケトルバック一族の狼たちで、その長であるマラキー・デヴェローは、彼女を生かすためだけに炎の壁の中へ歩いて入っていったのだという。 手のひらに残る火傷の痕は、ただの傷ではなかった。にじゅうに年前、死にゆく一匹の狼が彼女に繋いだ絆の名残り。半分だけ結ばれたその糸は、いま内側から彼女を蝕んでいる。そして協約法の下では、糸の向こう側にいる男にとって、それは死罪にあたる罪だった。 生き延びるために選ばなければならない。彼女を合法にできる、規律に忠実な守護官か。決して彼女を自分のものにしないまま死ぬつもりの、あの狼か。それとも——西の狼たちの土地を焼いている火が、彼らを守ると誓った組織自身の承認印を押されていたという、その事実か。 冷たい横顔の奥で、マラキーはずっと前から彼女を見ていた。気づいていないのは、彼女だけ。
Chapters 6 of 20 chapters free
- 1 火は坂を駆け上がった Free
- 2 炎を恐れない女 Free
- 3 証拠の鎖 Free
- 4 ホロウが、また燃える Free
- 5 静かな掟 Free
- 6 法が許すかぎりのすべて Free
- 7 台帳に残った名前 Locked
- 8 半分だけの印、十九日の猶予 Locked
- 9 山を駆け上がる火 Locked
- 10 教わったことの、すべて Locked
- 11 あと十九日 Locked
- 12 トーチを持った少年 Locked
- 13 灰色のコートたち Locked
- 14 四十一人の名前と、一人の女 Locked
- 15 屋敷の中へ Locked
- 16 焼かれた土地と、私の署名 Locked
- 17 断ち切るか、噛まれるか Locked
- 18 帰る場所 Locked
- 19 燃える丘、消えない約束 Locked
- 20 灰の尾根に、緑が戻る Locked